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2009年2月28日 (土)

煙が目にしみる

 でけた!!
 変だけど!
 なんとか!
 でけた!!

 もう何も言うまい……

 今の稀凛の精一杯。
 是非ごらんあれ。

 なのフェイSSで【smoke】です。

 パチパチ拍手(o・ω・o)

 

 するはずのない香り。しかしそれは、貴女のもので。
 いつもは鼻孔を甘くくすぐるはずのそれが……貴女の香りが、変わっていた。
 
 気付いていた。
        気付きたくなかった。
 
  わたしは間違っていた。
 
 貴女のことを、過信していた。
 

 
   - smoke -

 
 
「ねぇ、フェイトちゃん」
 大好きな貴女と今日も抱き合って眠れる。そのシアワセを感じながらも、愛しい貴女の腕の中で眠っていたわたしは、ここ数日、胸の中に渦巻いていたものを吐き出す決意をした。
「最近、何かあった?」
 びくりと、僅かに震える肌。素肌を重ねているわたしと貴女は、僅かな動きさえも感じられる。だから、震えたことはわたしに伝わり、わたしにそれが伝わったことも、貴女は感じていた。
「……」
 いつもは笑って『大丈夫だよ』と、誤魔化す貴女が寝たふりをする。わたしは、そんな子供じみたことに呆れながらも愛しさを感じる。
「煙草」
 わたしは、ただこの一言を告げる。これだけで貴女に伝わると知っているから。
 すると、貴女は溜息をついて、わたしから肌を、身体を離した。
「……いつから、知ってたの?」
 でも、心は離れない。貴女はまっすぐにわたしを見つめる。だから、わたしも貴女を見つめ返すの。
「三日前、かな。仕事から帰ってきたフェイトちゃんの髪から、少し……ね」
 嘘。本当は最初から知っていたよ。でもね、フェイトちゃんの泣きそうな、切なそうな瞳を見たら、そんなこと言えなくて。怒られると思ってるのかな? ううん、きっと違うよね。貴女は……
「不安なこと、あったの?」
 不安に押しつぶされそうになったんだと思う。原因は、解ってる。わたしと貴女の関係。仲間達は祝福してくれるけど、やっぱり受け入れてくれない人もいるのが、現実。
「大丈夫だよ、フェイトちゃんは一人じゃないの。わたしがいるよ?」
 そう言ってわたしは、離れた身体と肌、そして、不安に押しつぶされそうな貴女の心を抱き締める。壊れないように、優しく……。
「不安なことも、なんでもいい。一人で、抱え込まないで……お願い」
 ぎゅっと抱き締めそう言っても、きっと貴女は無理をする。解ってるけど、言わずにはいられない。
「煙草に逃げないで……わたしに逃げて? わたしは、いつだってフェイトちゃんを受け止めるから……」
 正直な話、貴女がわたしじゃなくて、煙草を頼ったことが悔しかった。わたしは貴女には頼ってもらえない、無機質に劣る存在。そう感じた。でも、それは自業自得。いつだって貴女を信じてた。何があっても大丈夫、わたし達は二人で一つだから。どんな時だって貴女が守ってくれる、そしてわたしも貴女を守ってあげられる。そう、一人で信じていた。だから、見えなかった。見てなかった。
 今にも泣き出しそうな、貴女を……わたしと同じ、女の子を。
「……泣かないで」
 そう言った言葉はどっちだったのか。目の前にいる女の子に告げたはずが、その子からも同じように投げかけられたそれ。
「泣いてるわけじゃないんだ、悔しいんだ……」
 戸惑いの中に漂っていると、そう続けられたその言葉。それは目の前の女の子、貴女からの言葉だった。
「なのはを守れる、いつだって私が守るんだって、そう思ってた」
 話し出した貴女の瞳は、徐々に潤み、それが月の光を綺麗に反射する。
「でも、実際には違った。なのは、私も知ってるんだよ。なのはが私に見つから
ないように泣いてること、それがバレないように、私を不安にさせないように、私の前ではずっと笑顔でいてくれること」
 そして、溢れ出した一雫の涙。
「だから、なのはにこれ以上負担させたくなくて……」
 言葉を飲み込んで、苦しそうにする貴女。一瞬、逡巡する素振りを見せ、ゆっくりとこちらを向き直し、一言告げる。
「ごめん」
 泣きながらわたしに謝ってくれる貴女。愛しくて、切なくて、泣かせてしまった自分がすごく嫌で。わたしは無言で抱き締める。わたしも一緒だよ、貴女と同じなの。
「ねぇ、フェイトちゃん」
「なに?」
 そんな想いを抱きながら、わたしは貴女へお願いする。
「わたしも、吸いたいな?」
「……な、にを?」
「たばこ」
 もうこれだけバレてるんだから、わたしは思い切り甘える声で言う。
「……ダメ」
 苦笑する貴女。でも、そんなことでわたしは負けないよ?
「じゃあ、わたしにちょうだい?」
「え……?」
 意味が解らなかったのかな、なんて思ったわたしは、そっと貴女の唇をなぞり、次いで私の唇をなぞる。
「こうゆうこと」
 そして、解った? と、勝ち誇った笑顔を向けるの、真っ赤な顔をした貴女に。
「……しょうがないなぁ」
 そう言って貴女は笑った。いたずらをするような無邪気な笑顔で。そして、貴女が煙草を手に取り、火を付ける。そして、一息つく……そんな姿を見たことがなかったわたしは、そんな貴女に不覚にもときめいてしまった。
「ふふ……どうしたの?」
 それが貴女には解ったみたいで、今度は勝ち誇った笑顔を向けられた。
「なんでもない」
 そう答えてみたものの、これが貴女の考えを肯定することになると気付いたのは、貴女がくすくすと笑ってからだった。
「なのは」
 恥ずかしくて、悔しくてそっぽを向いていたわたしを呼ぶ声。素直に向くのは癪だから、ちらっと横目で応える。
「おいで?」
 そこには、煙草を片手にわたしを待つ貴女がいて。こっちが恥ずかしくなるくらいの笑顔でわたしを見つめていた。
「……うん」
 それに逆らえるはずもなく、吸い寄せられるように近付くわたし。抱き寄せられ、触れる肌の温もりが気持ち良くて。わたしは、貴女の首に腕を回し、さらに密着する。貴女は驚いていたけど、優しく微笑んで、わたしを包み込んでくれた。
 触れ合う肌が気持ち良くて、心地良くて、くすぐったくて。わたし達は笑い合った。そして、目と目が逢う瞬間に感じた。お互いの想いを。
 重なりあった唇は、愛しくて、切なくて、少し苦かった。
 でも……
 
 この胸にある温かさは、煙よりも確かなものだよね。

 


                       - Fin -

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コメント

はじめまして!!「日向ぼっこ」で管理人をしている空猫です。
うーむ。私のところにはない大人の不陰気・・・カッコいいです♪
オッサンが吸っても煙たがるだけなのに、美人さんが煙草を吸うと、絵になるから不思議ですw
短い挨拶になりましたが、これで失礼させてもらいます。
これからも頑張ってください。
では、また。

投稿: 空猫 | 2009年3月29日 (日) 22:43

初めましてぇえ!!!
日向ぼっこの空猫様、ようこそです、こんな辺境に(笑)
カッコいいと言ってもらえて嬉しいです(●´∀`●)テレテレ
なんとか頑張りますので……見捨てないでぇ(´・ω・`)←

投稿: 稀凛が返信 | 2009年3月31日 (火) 03:12

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