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2010年12月10日 (金)

いてくれればいいから、僕の一番すぐそばに……

 おはこんばんちわ。きりんです(○・ω・●)オヒサシブリデス
 今日は、昨夜唐突に……本当に衝動的に書きたくなった話を掲載します。
 
 ちなみに、今回、なんと、初の、すずか視点(●´р`●)ヒェ-
 
 SSの概要は、なのは達五人が中学三年生のお話です。カップリング的な描写があるのは【アリすず】になります。それを踏まえて『大丈夫だ、問題ない!』と言う方は、追記よりSSをご覧ください。
※この『』内の台詞の元ネタを知らないんですけど、なんだか響きが好きで使いましたすみません(●゚р゚●)アゥ-
 パチパチ拍手(o・ω・o)㍍⊃

 

 貴女はいつも強くて、気高くて。
 とても素敵な女の子。
 でも本当は、強がりなだけなんだって私は知ってる。
 
 けどね、やっぱり“女の子”だから。
 本当はとても弱いの、知ってるよ。
 だから、ね、アリサちゃん──。
 
『もっと素直になっても良いんだよ?』
 
 
 
 マフラー、コート、手袋──そういったものが手放せなくなった季節。去年の春に中学三年生になった私達は、あっという間に卒業を迎える時期になりました。
 中学生最後の年、春も夏も秋も……そして今も。私やアリサちゃん、なのはちゃんにフェイトちゃんにはやてちゃんの五人は、いつでも一緒です。
 
 そう、今年の春までは。
 
 
「はぁ~……、もう卒業なんだね~」
 帰り道、なのはちゃんが手に息を吐きながら呟いた。
「そやな~。けどな、なのはちゃん。そうやってしんみりしとれるんも今だけや」
「へ? なんで?」
「フェイトちゃんもやけどな~?」
「え、何が?」
 はやてちゃんの言葉に、二人は心当たりがなくきょとんとしている。でも私は多分だけど、はやてちゃんの言おうとすることが解る気がする。それはアリサちゃんも同じなようで、呆れたように隣で溜め息を吐いた。
「ほれ、去年の卒業式ん時は男女問わず、卒業する先輩からの告白ラッシュやったやろ? せやけど、今年は後輩二学年からのラッシュで、それどころやなくなるやろうな~」
「「えぇぇええぇぇ!!」」
 二人は同時に驚きの声を上げて。本当に息がピッタリだな~、と私は感心する。
「で、でもほら、まだ解らないよ?」
「はぁ……フェイト、あんた本気で言ってるの?」
「うぅ……」
 アリサちゃんの言葉を受けて言い返せないところを見ると、心当たりがあったみたい。なのはちゃんもフェイトちゃんも小学校の頃から人気者だったけど、中学校に上がってからはもっとすごかった。可愛い上に優しい子だから、二人に憧れる子もいれば慕う子も多くて。特に二人が無自覚に振りまく愛想が原因だとは思うんだけどね。でもそこが二人の良い所でもあるから、仕方ないと言えば仕方ないのかな。
「そ~んなこと言うとるアリサちゃんもや。年上のお姉様達にはなかったけどな、年下の可愛い子達から慕われとるから他人事じゃないかも知れんよ~」
「なっ、何言ってるのよ! そん……、そんなことないわよ!」
 と言いながらも、顔を真っ赤にしているのはきっとアリサちゃんにも心当たりがあるんだね。
「でも意外なのはすずかちゃんや」
「え、私?」
 突然振られた話にちょっと驚いた。私には心当たりなんてないから。
「容姿端麗、性格もアリサちゃんみたいやなくて落ち着いとる。すずかちゃんの笑顔に魅了されとる人もおるはずなんやけどな~」
「もう、はやてちゃんってば。そんなことないよ」
 そんな風に言われると、さすがの私も照れてしまう。
 卒業が近いからか、みんなで色んなことを話しながら帰り道を進んでいく。中学校の思い出だけじゃなくて、今までの私達の思い出をたくさん話す。
 私とアリサちゃんとなのはちゃんの出会い、フェイトちゃんとはやてちゃんが一緒になってからのこと。話し出せば切りがない程のたくさんの思い出。
 卒業という一区切りだからこそ、改めて振り返ったり出来るのかも知れない。でもそれは、卒業だからとかじゃなくて──きっと、もう一つの大きな理由がある。
「なのは、どうしたのよ?」
「あ……、うん」
 途中から黙り込んでいたなのはちゃんに、アリサちゃんが声をかければ歯切れの悪い答えが返ってきた。笑ってはいるけれど、いつもとは違って淋しそうな笑顔を浮かべている。
「……あのね、なんだか淋しくなっちゃって。こうしてみんなと一緒に帰られるのも、もう最後かも知れないのかなって思うと」
「うん、そうだね。私達、最近アリサとすずかと一緒に帰ったり出来なかったから」
 なのはちゃんが淋しそうに呟いたそれに、フェイトちゃんが言葉を続ける。
 そう、もう一つの大きな理由は──なのはちゃん達が卒業と同時に海鳴市を離れること。はやてちゃんは家族みんなですぐに引越しをして、なのはちゃんとフェイトちゃんも本格的に行動を始めるみたいで。その為の準備とかお仕事とか色々あって、最近あまり一緒に帰ったりが出来なかった。今日も家に帰ったらすぐに向かうことになっているみたい。
 私とアリサちゃんは、こうしてなのはちゃん達が私達との時間を作ってくれるだけで嬉しいんだけどね。
「なんだかごめんね。話もしないで勝手に……」
 フェイトちゃんが、私とアリサちゃんに向き直って申し訳なさそうに言う。
「何言ってるのよ。それぞれ自分達で決めたことなんでしょ?」
「そうだよ。確かにちょっと淋しいけど、ちゃんと進むべき道がしっかり決まってるのは良いことだと思うよ?」
 そうは言っても、やっぱり淋しいのはみんな一緒で。なんだかしんみりとした沈黙が続く。
「……でも、やっぱり今までみたいにいられなくなるのは淋しいよ」
 静かに沈黙を破ったのは、なのはちゃんだった。
「はぁ~、本当になのははバカね」
「だって……。アリサちゃんは淋しくないの?」
「淋しくないわ」
 はっきりと告げられたその言葉に、なのはちゃんはショックを受けている。けれど、私もアリサちゃんのその言葉には、少なからず驚いていた。
「もうっ、そんな顔するんじゃないの」
 泣きそうな表情を浮かべるなのはちゃんに、優しく言葉を紡いでいく。
「だって私達はずっと友達でしょう? なのは達がここにいないとしても、何も変わらないじゃない」
 明るく告げられたその言葉は、なのはちゃんにもフェイトちゃんにもはやてちゃんにも届いたみたいで。三人三様の表情を浮かべている。
「アリサちゃんの言う通りだよ。確かにちょっと……じゃないけど、離れた場所に行くことになっても友達なのは変わらないし、いつでも来てくれて良いんだよ」
「アリサ……、すずか……」
「うん、そうやな。私もそう思う」
「~~~~っ、うぅ~……」
「ほ~ら、いつまでも泣いてないの」
 泣き出してしまったなのはちゃんの頭を、優しく撫でてあげるアリサちゃん。普段見ることのない光景に、私も本当にみんなと一緒にいられなくなるんだって実感して、少し泣きそうになった。
「あ、やば。私ちょっと忘れ物したからちょっと学校戻るわ」
 しばらくして、アリサちゃんが突然そう言った。
「え、それなら……」
「待ってる、とか言うんでしょ。別に良いわよ、まだそんなに遅い時間でもないし。それにこの後すぐに行かなきゃいけないんでしょ?」
「……うん、でも」
「それに、また明日会えるじゃない。全く、いつまで泣いてるのよ。今生の別れってわけじゃないんだから」
「そうだけど~~……」
「はいはい。もう良いから帰りなさいよ? じゃあねっ」
 アリサちゃんはそう言って、来た道を走りながら戻っていった。私達はその背中を見送る。
「なのは、大丈夫?」
「……にゃはは、ダメだね。アリサちゃんとすずかちゃんが言うようにずっと友達だって解ってるけど、やっぱり……」
 まだ気持ちの落ち着かないなのはちゃんに、私達はどうしようかと顔を見合わせる。
「ねぇ、なのはちゃん。私もアリサちゃんも、どこにも行かないよ。もちろんなのはちゃん達もどこかに行っちゃうわけじゃない。確かにいる場所は遠くかも知れないけど、気持ちは一緒だよ」
 涙を拭う手に私のそれを重ねて、空いている手で優しく拭ってあげる。
 温かい涙。
 それは、なのはちゃんが私とアリサちゃんを想って泣いてくれてる優しい気持ちそのものの温かさなんだって思った。
「連絡だっていつでもくれて良いし、きっと私達からも連絡するから……、ね?」
 そう笑いかければ、俯きがちだったなのはちゃんも戸惑いながらも笑ってくれた。
「うん、やっぱりなのはちゃんは笑ってる方が可愛いよ」
「ふぇ!?」
「す、すずか!?」
「ほぉ~、さすがすずかちゃんやな。フェイトちゃんに負けじと爽やかにサラッと言うなぁ~」
「えっ! は、はやてっ!?」
 私の言葉に対する反応があまりにも面白くて、くすくすと笑えばみんなも一緒に笑ってくれて。こうやって当たり前にいられる今は、もうすぐ終わる。でも、そこで終わりじゃないって思えるのは、みんなの気持ちが伝わってきたから。
 だから淋しいけど、淋しくない。
 でもアリサちゃんは、きっとそのことにまだ気付いていない。だから──。
「あのね、ちょっと話があるんだけど……時間、大丈夫かな?」
 
 
 
 一人で学校に戻ったアリサちゃんを探しに、まだ部活動が行われている学校に入る。けれど、教室を覗いてみても姿がなくて。
「……どこ行ったのかな」
 校内を歩き回ってみても、部活動をしている子や談笑をしている子達がいるだけで。アリサちゃんが見つからない。
 こうして改めて校舎をゆっくりと歩けば、みんなとの思い出がたくさんの場所にあることに気が付いた。一緒に授業を受けた教室や、クラスが違っても休み時間とかに集まっていた廊下、課題が終わらなくて一緒に作業をした美術室。みんなで本を読んだり試験勉強をした図書室、それにいつもお昼には──。
「あ、そっか。屋上……」
 クラスが一緒でも違っても、みんな揃ってお弁当を食べていた屋上。きっと学校で一番思い出深いのはそこで。屋上への階段を上りながら、いつもお昼になると、みんなでここを上っていたことを思い出す。
「うん、淋しいね……」
 胸に詰まっている思い出が幸せで、やっぱりそれがこれからは出来なくなると思うと淋しい。でもこの思い出は、いつまでも色褪せない。
 ──色褪せさせない。
 そんなことを思いながら屋上に辿り着けば、外へと続く扉が開いていた。やっぱりここにいる、そう確信した私は足を踏み入れる。広がる空を一度見上げて横を見ると、すぐ傍のフェンスに探していた姿を見付けることが出来た。
「……ここにいたんだね」
「っ!」
 見付けられたことに安心して、歩み寄って声をかけると肩を震わせたのが解った。
「なんで、いるのよ」
「ん~、なんとなく来ちゃった」
 アリサちゃんの隣で笑って答えれば、それに溜め息で返される。でもそれは不快じゃなくて。本音を言えば心配で来たんだけど、そんなことを言うのは野暮ってものでしょう?
「……もう、本当なのはったらバカよね。別に最後って言っても、元々卒業しちゃえばみんなで帰ることなんて、なくなるのに……」
 顔を俯かせて言葉を、想いを溢れさせている。それはなのはちゃんに言っているようで、アリサちゃん自身に言い聞かせているようにも聞こえた。
「最後なんて……、ほんと……、ばか、みたい……」
「……アリサちゃん」
「~~~~っ、すずかっ!」
 私の想いを乗せて名前を呼べば、箍が外れたように泣き出して抱き付かれた。ここまで深い悲しみだとは思っていなかった私は、胸が苦しみながらもアリサちゃんの背中に腕を回す。
「淋しくない……わけ、ないじゃない! 今までずっと一緒だったのに、これからだって……、一緒にいるものだって……、そう思ってたのにっ!」
 一度溢れ出した想いも涙も止まらない。アリサちゃんの泣き叫ぶ言葉に応えるよう、腕に力を、想いを込める。
「でも……、本当は解ってるの。あの子達が決めた道なんだもの。私が何を言うことも出来ないってこと、解ってる。それでも……」
「解るよ、私だって淋しいもの。確かに最初は戸惑ったりしちゃったけど、なのはちゃん達が頑張ってるの知ってるから……応援してあげたいし、喜んであげたい」
「……私だってそうよ。けど……」
「うん、そうだね。やっぱり淋しいよね」
 私の言葉に応えるように、アリサちゃんの腕に力が込められた。苦しいくらいだけど、私は引き離すことなんて出来ない。愛しい人がこんなにも苦しんでいるのに、受け入れることも出来ないなんてそれこそ淋しい。
 それに、アリサちゃんに伝えなきゃいけないことがあるから。
「ねぇ、アリサちゃん言ってたでしょ? 今生の別れじゃないって」
「……うん、言った」
「アリサちゃん、本当は解ってるんだよね。淋しいのはみんな一緒だって」
 抱き締めていた腕を少し緩め、顔が見られるようにして言葉を続ける。
「それにこれから先、きっと私とアリサちゃんも別々の道に進むことになる。でもだからって一人になんてならないよ」
 流している涙を優しくそっと拭えば、それはなのはちゃんの涙と同じくらい温かかった。
「確かに進む道は一人になるかも知れないけど、でも……独りじゃない」
 ね? と微笑めば、目元を拭っていた手にアリサちゃんのそれが触れて。キュッと優しく、でもしっかりと強く握られる。そんなアリサちゃんが可愛くて、私はふふっと笑ってしまった。
「……なによ」
「ううん、なんでもないよ」
 少し恥ずかしくなってきたのか、頬を薄く赤らめながら文句を言うアリサちゃん。いつものアリサちゃんが戻ってきたのかな。そろそろ頃合いかも知れない。
「それにね、アリサちゃん」
 私はそう言いながら、握られた手を繋ぎなおして優しく扉の方へと歩み出す。
「……すずか?」
「きっと独りになりたくても、私が……みんなが」
 開かれている扉から中へと入れば、そこにはなのはちゃん達がいる。遠くじゃなくて、今ここにこうして傍にいる。
「アリサちゃんのことを独りになんてしないから」
 みんなの想いをアリサちゃんに伝えれば、止まっていた涙がまた溢れ出したようで。でもそれはアリサちゃんだけじゃなかった。なのはちゃんも泣き出して、フェイトちゃんとはやてちゃんも涙ぐんでいた。
「ほら。だからね、大丈夫。これからもみんな一緒だよ」
 繋いでいた手を離して、トンッと背中を押してあげる。一歩前に踏み出したアリサちゃんは、さっきの会話を聞かれたことの恥ずかしさからか、何も言うことが出来ずになのはちゃん達の顔を見るばかりだった。
「アリサちゃんっ! 水臭いよぅ、淋しいなら淋しいって言ってよ~~!!」
「そうだよ、アリサ。私達友達なんだから」
「なんや意外やなぁ。アリサちゃんがこんな可愛いなんて知らんかったわ」
「…………うぅ~! なによあんた達……。どうしているのよっ! 本当、バカじゃないの!」
「ふふ、それは素直じゃないアリサちゃんだって一緒だよ」
 私がそう言ったら、みんなが笑い出した。泣いているのに、その表情は誰もが笑顔だった。
 こうしてみんなで泣き合って、笑い合って、気持ちを共有出来て。
 私は嬉しくて涙が溢れた。
 
 
 淋しくて悲しくて、でも温かい気持ち。
 一人の想いじゃなくて、みんなが抱いている想い。
 それこそが、私達が繋がっている証。
 こんな素敵な友達がいて、私は本当に幸せです。
 そして何よりも愛しい人の──アリサちゃんの笑顔を、こうして隣で見ることが出来る今がとても幸せ。
 
 大丈夫だよ、どんなことがあったって。
 これからもみんなと繋がっていられる。
 会いたくなったら、いつでもとはいかないけど会うことが出来る。
 大好きな人達と一緒にいられることが、出会えたことが、私の最高の幸せです。
 
 
 
 アリサちゃんが泣き笑いを浮かべながら、一番の笑顔で言ってくれた言葉────。

『嫌って言っても独りになんてしないんだからねっ!』
 
 それは、私達の新しい大切な思い出になった。
 
 
 
 
 
     - 一人でも独りじゃない -
 
                    Fin~

 

 

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