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2012年7月 8日 (日)

今日は大切な人と逢える唯一の日

 七夕ですよーう!(1日遅れの)
 なんだかここ数年七夕の夜は天気が悪いアレですよね。なんでしょうか、織姫と彦星は喧嘩でもしてるんですかね?

 そんなこんなで。七夕にちなんだリナアレの絵でも描こうかしら、と思ってたんですけど、無性にフェイトさん熱が上がってきてSSを書きました。
 タイトルがないんですけど……どうしましょう。
 最後にちょろっとなのフェイが出てきます。七夕にちなんで、フェイトさんに大切な人と逢ってもらっちゃいました。

 追記より、七夕SSです。勢いともうs……創作意欲で書き上げたので、タイトルもないし注意書きをどうすれば良いのやら、と思っていますが。まぁ、特に地雷はないと思います。
 少しでも皆様に気に入っていただけますように。
 

 twitter @kirin_Curio 

 Pixiv きりん

 パチパチ拍手(o・ω・o)㍍⊃

 

 ふと目が覚めると、見慣れた天井が視界に入った。
 見慣れた、というよりは──とても懐かしい景色。
 独りで寝るには少し広いベッド。
 窓から見えるのは、一面に広がる綺麗な緑。
 そうだ、ここは……。
「フェイト、起きましたか?」
 ノックの音が響くと同時に、そう声をかけられる。
 とても、懐かしい声。
「──……リニス?」
「今日は早起きなんですね」
 そう名前を呼べば、くすくすと笑いながら部屋に入ってくるリニス。
「どう、して?」
「何がです?」
「だって……」
 
──……リニスはもういない。
 
 どうしてか、瞬間その言葉が出そうになって思わず飲み込んだ。
 何かがおかしい。今の私はもうここにいるはずない。いられるはずがない。あれからもう随分時が経って、私は---になっているはずなのに。
 
──……あれから? 私は何になった?
 
 思い出せない。でも確かに感じる違和感。
 胸がひどく熱くて泣きそうになる。
 どうしてこんな気持ちになるんだろう?
 何故懐かしさを感じるの?
 ここは──私の家なのに。
「どうしたんですか、フェイト。まだ半分夢の中にいるんですか?」
 柔らかく微笑み、こちらへ歩み寄ってくる。
「プレシアもアリシアも、既に朝食を始めていますよ」
 フェイトも一緒に行きましょう? と、リニスは私に手を伸ばす。伸ばされたそれを、私は掴もうとして一瞬その手が幼い手と重なりデジャブを感じる。
 目を瞑り、軽く顔を左右に振り思い直す。
 そうだ、きっと何か夢をみていたんだ。それでちょっと混乱してるんだ。
 自分に言い聞かせるようにそう結論付け、私はその手を取り、愛しい家族のもとへと向かう。
 
 
 
「あ、やっと来た~! フェイトってば遅いよ~」
 既に朝食を終えていたアリシアは、席についたままそう言って。
「ごめん。もしかして待っててくれたの?」
「もちろんだよ~。だって今日はフェイトとず~っと一緒にいるつもりだったんだから~」
「だめですよ、アリシア。午後からはお勉強の時間です」
「むぅ、リニスのケチ!」
 アリシアとリニスの『いつも通り』のやり取りを聞きながら、私は席につく。
「おはよう、フェイト。よく眠れた?」
「母さん、おはよう。うん、よく眠れた、かな」
 少し歯切れ悪く答えれば、リニスがすかさず補足を入れる。
「よく眠れたというよりも、ぐっすり眠りすぎたという感じですよね。寝起きのフェイトはちょっとおかしかったですから」
「なになに~? フェイトどうかしたの?」
「べっ、別にどうもしてないよ! もう、いただきますっ」
 からかわれたのが恥ずかしくなって、怒った振りをしながら朝食に手をつける。
 隣の席ではにこにことこちらを見ているアリシア。
 目の前の席に、静かに座りながら私の朝の様子を話し出すリニス。
 その横で、そんなリニスの話を聞いて笑う母さん。
『いつも』の幸せな風景。
 私の大好きな、家族のいる風景。
 どうしてかな。『いつもと変わらない』はずなのに、『普段』の光景のはずなのに、胸がすごく苦しいんだ。
 
 
 朝食を終えて、アリシアと一緒に本を読んだり、庭でアルフと一緒に遊んだりして過ごす。
 休みの日には大抵そうやって『過ごしている』。
 午後になれば、朝リニスが言っていた通り、アリシアは勉強をすることになっていて。私からも説得をして、なんとかアリシアが勉強を始めた。
 私は済ませているから、自分の部屋に戻ってゆっくりとすることにした。
 窓から差し込む日差しが暖かくて、窓辺にそっと佇む。
 
──コンコン
 
 背後のドアにノックの音。アリシアが抜け出して来たのかな、なんて思って返事をする。
「はーい」
「フェイト、今大丈夫かしら」
「……母さん?」
 少しドキリとした。母さんが部屋に来るのは、別に珍しいことじゃないのに。
 やっぱり今日の私は、何かおかしい。
 
──……『私』が、おかしいのか。それとも……
 
「少し、話し相手になってくれない?」
「もちろんいいよ」
 遠慮することはないのに、わざわざそう一言断ってから部屋へと足を踏み入れる母さん。
 近くにあった椅子に腰掛け、私はその近くのベッドに座った。
「ねぇ、フェイトは私のことを恨んでいないの?」
「……え?」
 突然の質問に虚を突かれる。
 母さんを、恨む? どうして恨む必要があるんだろう。私達は『親子』なのに。
 母さんのその言葉に、当然私はそう考える。おかしいことなんてあるはずないのに、何かが引っかかる。
「恨むはず、ないよ」
 スムーズに出るはずのその言葉が、喉で一瞬詰まってしまう。
 不安そうに微笑む母さんを見て、キューッと胸が締め付けられる。
「そう。フェイトは本当に優しい子ね」
 ふっと頭に手が乗せられてそっと撫でられる。
「私はずっと貴女のことを考えていたわ。どうしてもっと優しくしてあげられなかったのか、何故突き放すことしか出来なかったのかって」
 母さんが淡々と話し出す。けれど、私はその言葉が全て理解出来ない。何のことを言っているのか、いつのことを言っているのか。思い出そうとするけれど、頭の中は真っ白で何も思い出すことがなくて。
「フェイトは私をずっと好きでいてくれる?」
「っ、当然だよ! 私は母さんが好きだよ!」
 
──……私は『---』が好きだよ
 
 脳裏に重なる私の声。違う名を呼ぶ、私の声。
「ありがとう、フェイト」
 不安気にしていた母さんが、綺麗に柔らかく微笑んだ。
 そして告げられた想い。
「ずっと言えなかったけれど、私はフェイトのことを愛しているわ」
 その言葉に、想いに涙が自然と溢れた。
 嬉しい言葉なのに、胸が痛いくらい苦しい。
 流れた涙が止まらない。
 
──泣くな……、泣くな!
 
 そうは思っても止まることのない涙。
 頭を撫でていた優しい手が頬を撫でる。温かく涙を拭ってくれる。
「フェイトのことが、好きよ」
 
──……フェイトちゃんのことが好きだよ
 
 再び脳裏に響く声は、愛しい声。ここにはいない、『---』の声。
 それを聞いた瞬間、全て思い出した。
 朝から感じていた違和感、デジャブ、母さんの言葉の意味。
 本当の私の『いつも』は、ここではない場所にあることを。
 悲しいことに気付いてしまった。
 これは夢なんだ、と。
「貴女にもう一度逢えて嬉しかった」
「かあ、さ……」
「そんな顔しないで? 大丈夫よ、貴女は強い子だわ。私なんかのことを、今でもまだ母さんと呼んでくれている。それだけで私は十分幸せよ」
 初めて感じる母さんの温もり。記憶にだけ残されていたその感触を、今確かに私が感じている。
 止まりかけた涙が、溢れ出して止まらない。
 悲しみ、嬉しさ、これが夢だという『現実』の辛さ。全ての感情が入り乱れてしまう。
「フェイトは泣き虫なのね。アリシアとは、やっぱり違うわね」
 くすくすと笑う声が聞こえる。あの日の拒絶の意味はそこにはなく、『フェイト』という私を確かに認めてくれていると解った。
 夢だとしても、すごく嬉しかった。優しく抱きしめられていたそれに、私は縋り付くように腕を回した。
「母さん……!」
 この温もりを、感触を忘れないように思い切り抱きしめる。
 夢だとしても、『今』感じているものは本物だから。
「な~んだ、もうばいばいなの?」
 扉が開いて、ひょこりとそこから顔を出すアリシア。ちょっと拗ねたような顔をした、愛しい半身。
「アリシア……」
「フェ~イト、違うでしょ?」
「……お姉、ちゃん」
「うんっ」
 記憶にだけ存在していた、私の半身。私の大事な姉妹。
「フェイト。貴女は私の誇りです。どうか、幸せでいてください」
「リニス……、リニスッ!」
 母さんの腕から抜け出し、私はリニスに抱き付いた。あの頃、私をいつも包んでくれていた優しい香りと感触。懐かしい人。
「あ~!! リニスばっかりずるい~! わたしもわたしも~」
 そう言ってアリシアも私に抱き付く。柔らかく、温かい感触に胸が震える。
「ふふ、アリシアはフェイトのことが大好きなのね」
「うん! だってわたしはフェイトのお姉ちゃんだよ! フェイトは妹だもん、大好きに決まってるよ!」
「ほら、フェイト。いつまでも泣かないでください。そんなにも泣いていては目が腫れてしまいますよ」
「……うん。うん、うん……」
「フェイトってばほ~んと泣き虫なんだから~」
「さ、フェイト。もう時間よ」
「…………」
「解っているんでしょう? 目覚めなければいけないことに」
「……でも」
「心配しなくても大丈夫よ。だって……」
 リニスとアリシアに挟まれた私に近付き、さっきと同じように頭を撫でてくれる。
 懐かしい、と思えるその優しい温もりと、私の全てを受け入れてくれる言葉をくれた。
「貴女は私の大事な娘ですもの」
「っ!」
「だから大丈夫。いつでも貴女のことを見守っているわ」
「わたしもだよ! フェイトをいじめるやつがいたら、わたしがめっためたに倒しちゃうんだから!」
「その前に、アリシアはもっと勉強をしないといけませんけどね」
「む~、リニスのいじわる」
「……ふふっ」
 思わず二人のやりとりに笑ってしまった。『いつも通り』だと感じていた『今』が、本当は全て初めてだったのに。
 今となっては、それが全て懐かしいものへと変わっている。
 不思議で、愛しくて、優しい夢。
「あ~! やっとフェイト笑った!」
「もう大丈夫みたいですね」
「うん、ありがとう……」
 二人からそっと体を離し、ゆっくりと視線を合わせて家族を見渡す。もう逢えない大切な家族を。
「お姉ちゃん、リニス……、母さん」
「フェイト、ごめんなさい。アリシアだけじゃなくて、貴女にまで辛い思いをさせてしまって」
「! そんなことっ」
「いいえ、そんなことあるの。今更何を言っても過去は変えられない、貴女に付けた傷を癒すことも出来ない」
 そっと手を握られ、優しく引かれる。廊下へと続く扉へ。
「でも、貴女へのこの想いは本物よ」
 廊下と部屋を隔てる境目で止まり、トンッと背中を押され私は『廊下』へ出る。
「愛してるわ、フェイト」
 愛しく響く声を背後に感じ、すぐに振り返れば大切な家族が部屋にいる。
「さようなら」
 そこへ通じる扉がゆっくりと閉じられようとしていて。
「待って、まだ……まだここに!」
 閉じる扉へ無我夢中に手を伸ばす。
 そして叫ぶように呼んだ。
 愛しい家族のことを。
 
 
 
 
 
──ザァァ……
 
 気が付けば、慣れ親しんだ天井へ伸ばす手が視界に入る。
 自分の出した声で目が覚めたらしい。
 あの夢のような出来事から。
 伸ばした手を降ろせば、全身から力が抜ける。そして頬に伝う一筋の涙。
 どうしてあんな夢を今になって見たのか。
 私は既に新しい家族と新しい生活を始めていて。
 今はもう中学生にまでなっているのに。
 入り混じっていた感情を、そのまま現実に持ってきているせいで混乱が晴れない。
 ゆっくりと体を起こして、現実を思い出しながら隣を見る。
 そこにいたはずのなのはがいない。
 なのはと一緒にいられたのも夢? どこまでが、夢?
 現実だと思っていることさえ夢なのだろうか。
 私は独り、なんだろうか。
 そんなことを思って、もう何も解らなくて。布団と一緒に膝を抱える。
 
──ガチャッ
 
「あ、フェイトちゃん。起きてたの?」
「なの、は……」
 さっきも似たような言葉を聞いた気がする。けれど現実は夢じゃないと、大切な存在が教えてくれた。
「えへへ、なんだか目が覚めちゃったからミルクティー作ったんだけど、フェイトちゃんも…………フェイトちゃん?」
 気付いたら、私はまた泣いていた。夢と同じ始まりで、けれど夢ではない『今』が愛しくて。
「ど、どうしたの?」
 慌てて傍らへ走りよってくる愛しい存在。家族とは違った大切な人。
「なんでもない、なんでもないんだ……。ただ──」
 家族の温もりを思い出しながら、私は目の前の愛しい人の温もりを抱きしめる。
「すごく、幸せで」
 私は独りじゃない。
 傍にはなのはがいる。仲間たちがいる。家族だっている。
 悲しいくらい、私の周りには幸せが満ちている。

──フェイトのことを愛しているわ
 
 脳裏に響く声。
 夢だとしても、確かに告げられた想い。
 私にとって唯一の存在が、私にくれたその想い。
 
 母さん、私も貴女のことを愛しています。
 
 
 
 
 
          Fin~

 

 

 

 

 

【あとがき】
 七夕は1年に1度織姫と彦星が逢える日ということで。
 そんな短いスパンで逢える人じゃない人と、フェイトさんは逢えちゃったお話です。こういうのってパラレルじゃなくてなんて説明したら良いんでしょうか? 勉強不足ですみません。
 もうすぐA'sの劇場版ということで、無印の劇場版を観てるとやっぱりプレシアさんの最後の台詞が胸に残ってしまって。プレシアさんにもフェイトさんにも救いを! とか思ってしまって。
 夢の中で逢っていただきました。これがフェイトさんの潜在意識の見せてる願望なのか、本当に出逢うことが出来た七夕の奇跡なのかは誰にも解りませんが、プレシアさんにもフェイトさんにも幸せがありますように。
 とかなんとか。あとがきというあとがきではありませんが、ここまで読んでくださってありがとうございます。
 色々と精進をしていきますです。今後もよろしくお願いします。 

 

               2012/07/08 神無月稀凛

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コメント


更新お疲れさまです
o(^o^)o


確かに七夕ってだいたい雨が多いですよね~
(;´д`)

僕のとこも、曇りではあったんですが、星はほとんど見えませんでした
(>_<)

いつかめちゃくちゃ晴れてほしいですね
( ̄ー ̄)

投稿: 疾風 | 2012年7月 9日 (月) 02:02

ありがとうございます!
七夕が晴れてたのってもう何年前なんだろうか……と思っています。それに天の川をちゃんと見れた覚えがないです><
七夕の日だけでも良いので晴れて欲しいですねww

投稿: 稀凛が返信 | 2012年7月 9日 (月) 23:58


はじめまして☆

お話を拝見しています!!
あの、エイラーニャの連載のお話、更新しないんですかね?
続きが楽しみです☆


お話作るの、頑張ってください!!!

投稿: 沙良 | 2013年4月23日 (火) 13:19

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